「パッと見た感じ普通の子と変わらないのに、わざわざ障害児アピールするのはかわいそうかな…」
「もっと障害が重い子も沢山いるのに、この程度で支援を求めるなんて傲慢かも…」
なんて思っても、実際困っている親御さんは多いのではないでしょうか。
そこで今回は、発達障害児にヘルプマークをつけるメリットとデメリットについて解説します。
Contents
ヘルプマークとは
義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマークです。
(引用:東京都福祉保健局)
ヘルプマークを利用している発達障害児はどれくらいいるの?

現時点で、発達障害児の利用率について公的な調査は行われていないようです。
参考になるかどうかはわかりませんが、私の周りでは知的障害を持つお子さんは7割、知的障害を伴わない高機能自閉症・ADHDのお子さんは2割程度が利用しているように思います。
発達障害児がヘルプマークを利用するデメリット2つ

①認知度が低いために支援を受けづらい
東京都で行った調査によると、ヘルプマークの認知度についてはこのような結果となっています。
「意味も含めて知っている」…(59.0%)
「見たことや聞いたことはあるが、詳しい意味は知らない」…(24.2%)
「知らない」…(16.9%)

ただ、こちらの調査は「ヘルプマーク発祥の地」東京都での調査です。
東京都では公共交通機関など積極的に広告を出すなど、普及活動が盛んに行われています。
ですので、他の都道府県ではここまでの認知度は無いだろうと推測しています。
②ヘルプマークがムカつくという人もいる
「目の前に立たれたら、いくら自分の調子が悪くても席を譲るしかなくなる」
「マナーを守らなくても良いという免罪符にはならないのに、騒ぐ子供を放置している親がいる」
など、ヘルプマークをつけている子供を不快に思う人もいるようです。
発達障害児がヘルプマークを利用するメリット3つ

①親の精神的疲弊を軽減する
「パッと見た感じ普通の子と変わらないのに、わざわざ障害児アピールするのはかわいそう」
「もっと障害が重い子も沢山いるのに、この程度で支援を求めるなんて傲慢」
というような意見も、少なからずあるかもしれません。
とはいえ「普通の子」とは明らかに違うのが発達障害児です。
発達障害児の子育てには、健常児の親には理解し難い困難があります。
「いくら引き止めても所構わず動き回ってしまう。」
「泣き声が尋常じゃない」
「些細なことでパニックになり暴れる」
これらのことは防ぎようにも限界があります。
たとえこれで一旦電車を降りることになっても、ヘルプマークをつけているのとつけていないのとでは、周囲の印象が違うと思いませんか?
中には心無い感情を持つ人もいるかも知れませんが、
「あのお母さん頑張ってるな…」と思ってくれる人もきっといるはずです。
②迷子札になる
ヘルプマークの裏面には「名前」や「連絡先」を記入できます。
感覚過敏で手を繋げなかったり、衝動的に走り出してしまうようなお子さんは、迷子になるリスクも上がりますよね。
万が一のときにこのヘルプマークをつけていれば、誰かが気付いて連絡してくれるかもしれません。
「迷子になりやすい」などと書いておくと、見つけた人も支援しやすいかもしれません。
③ひとりで行動するときに役立つ
特別支援学級でも、小学校高学年にもなるとひとりで通学できるよう指導が始まります。
普段は一人で行動できるようになっても、予想外の出来事にパニックになることがあるかもしれません。
誰かが助けてくれようとしたときに、自分のことがうまく伝えられないと困りますよね。
そんなとき、ヘルプマークの裏面に「子供の症状や対処法など」を簡潔に書いておくことで、支援がスムーズにいきます。
ヘルプマークの入手方法

配布場所は、お住まいの場所により異なります。各自治体にお問い合わせください。
東京都では、駅やバスの営業所・いくつかの病院などで配布しています。
準備するものは特にありません。口頭での申し出のみで大丈夫です。
家族や支援者など、代理人の受け取りも可能です。
※一部自治体では書類等の提出が必要との情報があります。ご心配な方は、事前に各自治体へお問い合わせください。
ヘルプマークの使い方

片面に記入用のシールを貼り、必要事項を書き込みます。
特に決まりはありませんが、
・名前
・緊急連絡先
・診断名や困っていること
などを記します。
リュックやベルトなど、見えやすいところに取り付けます。
ヘルプマークに関するツイート
まとめ
「発達障害児はヘルプマークを利用するべきか」というテーマで、メリットやデメリットをご紹介しました。
親御さんやご本人には、様々な思いがあると思います。
地域柄や普及率の違いによっても意見が分かれるでしょう。
私が我が子にヘルプマークをつけるようになったのは、完全に自分のためでした。
幼い頃から自分に自信がなくて周囲がとにかく気になる性格だったので、
子供と外出すると「迷惑だと思われたくない」と常に周りを気にして楽しめなかったのです。
うちの子は
・どんな手を尽くしてもじっとしていられない
・のけぞって暴れ、耳をつんざくような声で泣く
などの特性があり、実際知らない人に「躾がなっていない」というような注意も何度か受けました。
かといって、コミュニケーションを嫌がる子供と家に閉じこもっていても、ちょっとの油断でダークサイドへ追い込まれてしまいます。
そこで、ヘルプマークを利用してみることにしました。
最初こそ少し複雑な気持ちでしたが、ヘルプマークをつけるようになってしばらくしてからは、嘘のように気持ちが楽になりました。
今までは子供を「普通の子に見せる」という努力を必死でやっていましたが、それをしなくて済むだけで心に余裕が生まれます。
子供にも指示が通りやすくなった気がしました。
今では、ヘルプマークをつけなくても一緒にお出かけを楽しむことができています。
親の精神状態は、確実に子供に影響します。
親の心が満たされてはじめて、子供に愛情を注げると聞いたことがあります。
絶賛子育て中の親御さんたちには難しいこともわかりますが、
過去の私と同じように悩んでいる方は、少しでも心が軽くなるように努力するべきです。
「子供が寝ている間に一人で有名店のスイーツを堪能する」
「3時間でも旦那に預けて街へ出かける」
「一緒に行動するときだけでもヘルプマークを利用する」
おすすめです。